2023年度 通年及び前期講座(2023年4月~2024年3月)

【宗教講座】

日常生活と聖書

※この講座は対面式で開催します

日程水曜日 10:30~11:30(5/10、6/14、7/12、9/20、10/18、11/15、12/13、1/17、2/21)
受講料9,000円
講師名シスター岩井 慶子(聖心会)
講座紹介 聖書学の勉強ではなく、担当者が日常生活の中で力をもらったとか、面白い、意味があると思ったところを主観的にお伝えする気楽な講座です。
 参加の皆さまが感想や、反応、意見を言ってくださることで担当者の理解も広がる相互的な学びの場でもあります。聖書の使用箇所は、その都度、お送りしますので、聖書をお持ちでない方もご参加いただけます。毎回取り扱う聖書の箇所は継続ではないので、途中からの参加も問題ありません。

【宗教講座】

キリスト教への招きⅧ

※この講座は対面式で開催します

日程土曜日 14:00~15:30(5/13、6/10、7/15、9/9、10/7,10/28、11/18、1/6、2/10、3/9)
受講料15,000円
講師名宮越 俊光(カトリック中央協議会)
講座紹介 第8期となる2023年度は以下の教科書に基づいて進めていきます。 山本芳久『キリスト教の核心をよむ』NHK出版、2021年(737円、各自で購入)。教科書は、東京大学教授の山本芳久先生がキリスト教の基本を本格的かつ平易に解説した入門書です。4章から成っており、各章を2回に分けて取り上げます。聖書に関する2章(第1回~第4回)とキリスト教思想家に関する2章(第6回~第9回)に分け、それぞれが終わった後に、受講者の皆さんからの質問への答え、まとめと補足の回を設けます(第5回、第10回)。カトリック教会の立場から、信者ではない方にもできるだけ分かりやすくお話しいたします。これまでの講座を受講していない方も歓迎いたします。
講義内容第1回 5月13日(土) 旧約聖書とは何か(1)
第2回 6月10日(土) 旧約聖書とは何か(2)
第3回 7月15日(土) 新約聖書とは何か(1)
第4回 9月9日(土) 新約聖書とは何か(2)
第5回 10月7日(土) 第1回~第4回に関する質問とまとめ
第6回 10月28日(土) アウグスティヌス『告白』を読む(1)
第7回 11月18日(土) アウグスティヌス『告白』を読む(2)
第8回 1月6日(土) 橋をつくる――キリスト教と現代(1)
第9回 2月10日(土) 橋をつくる――キリスト教と現代(2)
第10回 3月9日(土) 第6回~第9回に関する質問とまとめ

【文学講座】

禁忌の恋はどう語られたか―藤壺の物語を読む(「賢木」巻③)

zoom icon※この講座はZoomを使います

日程火曜日 13:00~14:30(5/9、5/23、6/13、6/27、7/11、10/3、10/17、11/7、11/21、12/19)
受講料15,000円
講師名大津 直子(同志社女子大学 准教授)
講座紹介 光源氏とたった五歳しか違わない継母・藤壺の存在は、 光源氏の人生を、あるいは『源氏物語』 の正編全体を貫く重要な軸です。
 しかしながら、戦前谷崎潤一郎訳『源氏物語』 において藤壺の登場箇所が削除されたことが象徴するように、皇統乱脈を描く光源氏と藤壺との恋は時代の流れの中で忌避されることもありました。果たして物語はどのように禁忌の恋を語っているのでしょうか。
 本年度は、政敵の娘との密会が露見するドラマティックな「賢木」巻末を読み終わり、「須磨」巻へと進みます。窮地に追い込まれた光源氏は、京を離れることを決意、愛する人々との別離を余儀なくされます。
 講座の中では従来通り、貴族たちの生活世界をイメージしていただけるように画像資料を用います。受講者の皆様が平安朝の世界を心の中に思い描きながら原文を味わってくださるよう努めます。また、途中回からのご参加や講座内容に関するご質問も大歓迎いたします。オンライン講座ですが、双方向のやりとりとなるよう工夫したいと思います。
講義内容第1回 5月9日(火) 昨年度までの振り返り
第2回 5月23日(火) 密会露見 光源氏と朧月夜、窮地に追い込まれる(1)
第3回 6月13日(火) 密会露見 光源氏と朧月夜、窮地に追い込まれる(2)(「賢木」巻読了)
第4回 6月27日(火) 光源氏、須磨への退去を決意する(「須磨」巻)
第5回 7月11日(火) 光源氏、左大臣家へ挨拶をする
第6回 10月3日(火) 光源氏、紫の上や花散里との別れを惜しむ
第7回 10月17日(火) 光源氏、旅立ちの準備をする
第8回 11月7日(火) 光源氏、藤壺のもとへ参上、故院の山稜を拝む
第9回 11月21日(火) 春宮方の人々、光源氏の悲運を嘆く
第10回 12月19日(火) 光源氏、須磨へと出立する
(なお、進度によって多少前後いたします)

【文学講座】

『大和物語』を読む

※この講座は対面式で開催します

日程金曜日 10:30~12:00(4/28、5/12、5/26、6/9、6/23、7/7、7/21、9/1、9/15、9/29)
受講料15,000円
講師名山口 佳紀(聖心女子大学 名誉教授)
講座紹介 『大和物語』は、『伊勢物語』と並び称される歌物語の一つであり、平安時代の貴族社会で語られていた恋愛譚や古伝説などを紹介する作品です。我々は、これを読むことによって、平安貴族の興味が何に注がれていたか、また彼らの築いた文化がどのようなものであったかを、如実に知ることができます。ただし、この作品は有名である割に注釈書が少なく、内容が十分には理解できていないのが現状です。
 この講座では、その各章段を丁寧に読み解きながら、表現の真意を突き止め、文章の魅力を楽しみたいと思います。
講義内容第1回 4月28日(金) 『大和物語』を読むために(第87段「別れ路の雪」)
第2回 5月12日(金) 第32段「武蔵野の草」・第41段「無常」
第3回 5月26日(金) 第42段「庭の霜」・第43段「横川」
第4回 6月9日(金) 第44段「ぬれごろも」・第57段「山里の住居」
第5回 6月23日(金) 第58段「黒塚」・第59段「宇佐」
第6回 7月7日(金) 第60段「燃ゆる思ひ」・第61段「なごりの藤」
第7回 7月21日(金) 第103段「天の川」〈上〉
第8回 9月1日(金) 第103段「天の川」〈下〉
第9回 9月15日(金) 第147段「生田川」〈上〉
第10回 9月29日(金) 第147段「生田川」〈下〉

【教養講座】

子どもたちは人が好き

zoom icon※この講座は、対面式とZoomの併用で開催します

日程水曜日 13:00~14:30(5/10、5/17、5/24、5/31、6/7)
受講料7,500円
講師名川上 清文(聖心女子大学 名誉教授)
講座紹介 私たちは、だれもがかつて子どもでした。しかし、子どもの気持ちがわかるとは限りません。そもそも、なぜヒトには長い子ども時代があるのでしょうか。考えてみると不思議です。
 私は2011年度、あの大震災があった年に、大学から研修年をいただきました。その1年間を、それまでの研究のまとめと、新しい研究のスタートにあてることにしました。新しい研究というのは、保育園で子どもたちに触れながら、子ども時代について考える、というものでした。その研究を、2018年に『子どもたちは人が好き:幼児期の対人行動』(東大出版)という本にまとめました。
 本年度は、その本をもとにして、子どもたちの心理について考えたいと思います。出来れば、本を手元に置いていただきたいですが、なくとも話がわかるように進めていくつもりです。予定としては、第1回保育園での観察研究から(その1。論文は配布)、第2回保育園での観察研究から(その2。1つの論文は配布。2つ目はhttps://www.jstage.jst.go.jp/article/shes/15/1/15_31/_pdf/-char/ja)、第3回個別のエピソードから(その1)、第4回個別のエピソードから(その2)、第5回まとめ、という流れを考えています。
 ワーズワースの『虹』という詩に「子どもが大人の親」という表現があります。その意味を5回の講義で考え続けましょう。

【文化講座】

日本・東洋文化探訪シリーズ第三弾
中央アジア仏教美術

※この講座は対面式で開催します

日程木曜日 13:00~14:30(6/1、6/15) ※この講座は、後期に続く予定です
受講料3,000円
講師名中野 照男(東京文化財研究所・名誉研究員)
講義内容第1回  6月1日(木)
西域北道の代表的オアシス都市クチャの宗教文化と美術
西域北道のオアシス都市クチャには、部派仏教の一派である説一切有部が栄えましたが、その中から、後に中国で大乗仏教の漢訳を積極的に行なった鳩摩羅什(くまらじゅう)を輩出しました。玄奘の『大唐西域記』の記述や現地に残る遺跡やその収集品を手がかりに、クチャ国の歴史、宗教、民俗を概観します。
第2回  6月15日(木)
ドイツ・トルファン探検隊の西域調査とその成果
ドイツは、現在の新疆ウイグル自治区に4回探検隊を派遣し、トルファン、クチャ、トゥムシュックなどで勢力的に調査しました。各回の調査の概要と成果を取り上げます。第1次大戦後のインフレ、第2次大戦の空襲などをくぐり抜けて守られた収集品の現状についてもお伝えいたします。

【歴史講座】

―江戸を学ぶ①―再考、キリシタン屋敷とシドティ神父の墓

※この講座は対面式で開催します

日程火曜日 13:00~14:30(6/6)
受講料1,500円
講師名池田 悦夫(高崎経済大学非常勤講師)
講義内容 文京区に所在するキリシタン屋敷跡の発掘調査は平成26年に実施された。調査からは、シドティ神父の墓など多くの成果が得られ、様々な機関で公表される機会を得てきた。昨年、本講座においても発表する機会を得たことは、まだ記憶に新しい。そのような中にあって、「本当にシドティ神父の墓なのか」という指摘があったが、この指摘に対しては、篠田謙一や谷川章雄の両氏がシドティ神父の墓であることへの正当性を説いたという経緯がある。両氏が示す根拠については、傾聴に値することはいうまでもないが、検討の余地はないのかと言えば疑問も残るように思えることは、昨年の講座で言及し追求を試みたとおりである。ここでは、キリシタン屋敷跡から出土したシドティ神父の墓とされる169号遺構は誰の墓なのかについて整理し直し再考を試みたい。なお、中々、市民権を得られ難い「シドティ」の名称についても再度説明したい。

【文化講座】

―江戸を学ぶ②―酒井抱一と江戸の琳派

※この講座は対面式で開催します

日程火曜日 13:00~14:30(6/20、7/25) ※この講座は、後期に続く予定です
受講料3,000円
講師名松尾 知子(千葉市美術館 学芸課長)
講義内容 琳派は、江戸時代初期の本阿弥光悦や俵屋宗達、江戸時代中期の尾形光琳、乾山らによって京都で花開いた美術様式です。江戸時代後期には、酒井抱一(1761〜1828)が江戸の地でこれに江戸らしい好みを加え洗練された新しい琳派様式を生み出しました。抱一の最も優れた弟子として知られる鈴木其一(1796〜1858)をはじめ、近代までその水脈は継承され、江戸の琳派の美意識は現代まで広く息づいています。
 本講座では、この“琳派400年”のなかでも、京都/上方から江戸へという魅力的な展開にあらためて注目したいと思います。名門大名家の御曹司であった抱一が、熱心に光琳・乾山の顕彰に取り組み琳派の流れをつくっていったその様相と今に生きる美点をご紹介します。

【文化講座】

―日本・東洋文化探訪シリーズ第四弾―中国歴代の能書と古典

※この講座は対面式で開催します

日程木曜日 13:00~14:30(6/29、7/1) ※この講座は、後期に続く予定です
受講料3,000円
講師名六人部 克典(東京国立博物館 研究員)
講義内容 中国では古来、文字をいかに書くか、ということに意を用いてきました。先人が遺した優れた古典の書を、臨書や搨摸などの方法で手習いし、筆使いや文字の組み立て方などを体得して自らの書法の素地としました。古典とされる書やその筆者、すなわち能書の書法に関しては、歴史上、様々な議論、評価を経て、各々の位置付けもまた時代によって変遷し、あるいは淘汰されながら、現代まで伝えられてきました。
 中国歴代の能書と古典のなかでも、筆頭に挙げられるのが、東晋時代に活躍した書聖・王羲之(303~361)とその代表作「蘭亭序」です。「蘭亭序」をはじめとする王羲之の書のように、真跡が失われ、摸本や拓本などの後世の複製のみが伝わる古典も少なくありません。一部の古典は中国はもとより、日本などの東アジア漢字文化圏にももたらされ、各地で影響を与えながら、親しまれてきたのです。
 本講座では、中国歴代の主な能書と古典を取り上げ、歴史的背景に触れながらその人物と書法の魅力、後世への影響などをご紹介します。合わせて、書の鑑賞ポイントについてもお伝えし、博物館などでの鑑賞の際の一助となるように努めます。前期の2回では、①魏晋南北朝・2~6世紀、②隋唐・6~10世紀の能書と古典に注目します。

【文化講座】

―江戸を学ぶ③―浮世絵入門

※この講座は対面式で開催します

日程木曜日 13:00~14:30(5/25、6/22) ※この講座は、後期に続く予定です
受講料3,000円
講師名大久保 純一(国立歴史民俗博物館 教授)
講座紹介 江戸庶民の芸術といわれる浮世絵ですが、いくつかの主要なジャンルに分かれ、それぞれに売れ方や絵作りの「きも」など特性がありました。本講座では三大ジャンルとされる、美人画、役者絵、名所絵(風景画)を取り上げます。前期は浮世絵の中で代表的な形態である錦絵がどのように作られ、そして売られていたのかを最初の回でお話して、2回目には名所絵を取り上げます。
講義内容第1回  5月25日(木)
錦絵のつくられ方と売られ方

 多色摺りの木版画である錦絵がどのようにつくられるのか、現存する版木(国立歴史民俗博物館蔵)の画像を用いてご説明します。通説であまり知られていない技法などにも触れながら、その工程や技法をお示しします。その後で、摺りあがった錦絵が、絵草子屋の店頭でどのように販売され、市中に流通していたのかを当時の画像や文献資料などを駆使しながらお話いたします。
第2回  6月22日(木)
名所絵(風景画)

 浮世絵風景画を代表する絵師として歌川広重を取り上げます。葛飾北斎の《冨嶽三十六景》が大ヒットすることにより、それまで役者絵や美人画に比べればマイナージャンルであった名所絵が大きく成長します。広重は北斎の《冨嶽三十六景》の成功に刺激されて名所絵ジャンルに進出しますが、やがて巨匠北斎を乗り越え、この分野の第一人者となります。広重がなぜ名所絵で人気を得たのか、主題の扱いや空間表現など、その絵づくりの手法から解き明かしていきます。